エベレスト~遥かなる挑戦とアンビリバボー

タイトル :

エベレスト

公開年度:

2015年

監督:

バルタザール・コルマウクル

解説/あらすじ:

1996年に実際に起こった、エベレストの遭難事故を基にした作品である。
1992年ロブ・ホールはエベレストの商業登山を開拓した。
高額の報酬でガイドを付け、参加者の登頂への手助けを行っていた。
作品ではロブを隊長として、
アドベンチャー・コンサルタンツ(AC)隊の登頂の様子が描かれている。

レビュー:

「エベレスト」は最も高い海抜高度をもつ山である。
過去40年程でプロの登山家が挑み、4人に1人は帰らないとされる死の山。

イギリスの登山家、ジョージ・マロリーの名言「そこに山があるから」はとても有名ですが、はっきり言ってそんな理由で登るバカはいないと願いたい。
私個人としては一生縁がない世界の話だと断言できる。
以下は、登頂までの様子。

□ネパール(カトマンズ)に集合して、ミーティングを行う。
・今回のアタックについて、隊長のロブより簡単な説明があった。
通称「デス・ゾーン」と呼ばれる地点からは人間の体は確実に死に向かう。
いかに短い時間でこのゾーンを通過できるかが成功のポイントだと語った。
5/10(ツイている日、晴れやすい日)をアタック決行日とした。
・メンバー紹介
ジョン・クラカワー、ベック・ウェザーズ、ダグ・ハンセン、ヤスコ・ナンバ(日本人)など、ACのガイドとしてマイク、ハロルドを紹介した。

□ルクラ(2860m地点)
・ヘリに乗り込み移動、空港もあるようだ。

□ナムチェ・バザール(3750m地点)
・登山許可証を見せていた。

□タンボチェ僧院(3867m地点)
・ナマステと言って、登山前の儀式に参加する。

□トクラ(4877m地点)
・登山者の慰霊碑がある。

□ベースキャンプ(5364m地点)
・登山の拠点となる場所、1か月内で3回程、登高して体を慣らす訓練を行う。
空気が薄い為、順応するにはプロでも時間がかかる。

□第1キャンプ(5944m地点)
・この地点からは体に様々な障害が現れる。
低体温症(言語不明瞭や異常行動を誘発)
脳浮腫(脳が張れて、運動障害を起こす)
肺水腫(肺に液体が溜まり、溺死と同じ状態となる)
いずれにしても、完治には下山が必須である。

□第2キャンプ(6492m地点)
・衛星電話が使用可能。料金はもちろん高額。

□ローツェフェース(7132m地点)
・極寒の世界、メンバーは一列になってひたすら進む。

□第3キャンプ(7315m地点)
・特に紹介無し

□第4キャンプ(7951m地点)
・テントを張れる最終地点だが、横たわっているだけでもかなり辛そう。
酸素マスクは欠かせない。

□バルコニー(8412m地点)
・難所、メンバーの体力は時間と共に削られていく。

□ヒラリーステップ(8760m地点)
・頂上への最後の上り、雲ははるか下にある。

□山頂(8848m地点)
・晴れた時は最高だろう、しかし下山までが登山である。
横から湧いてくる積乱雲に、メンバーに暗雲が立ち込める。

 

2週間のシーズン内でAC隊とスコット・フィッシャー隊は
登頂成功の実績を積み上げる為に、お互い競っていた。
作品中では、他に南アフリカ遠征隊とアイルランドの遠征隊が登場している。
クレバス(氷の割れ目:深いものでは底が見えない)でハシゴを渡るのに、大混雑が起きていた。
何時天候が変わるかも分からない、氷山は常に動いており刻々と姿を変える。安全の保障はないのだ。
いくらガイドが付いているとはいえ、そんな場所に長居は禁物である。

事態を見かねたロブは各隊のリーダーを集め、決行日はいつなのかと問う。
皆の返答は、完全に一致、5/10で被ってしまう。
ツイてる日に一斉にアタックを仕掛けるようだ。

混雑を懸念したロブはフィッシャー隊と組んで、登頂しようと持ちかける。
お互いにプロの仕事をしようと。

第一キャンプでフィッシャー隊のデイルが体調を崩す。
ガイドのニールは彼を連れて、一旦下山をする。
この時、無線トラブルでフィッシャー隊の隊長であるスコットと連絡が取れないようだった。
彼は随分と先の方へ進んでいたが、ニールと連絡が取れない事に気付き、引き返してきていた。
「デイルを下山させた後に直ぐに追いつく」という彼に
ロブは、「1日で往復は無理だ、1日休め」と忠告するが
聞く耳を持たない。後々これが効いてくる。

ベースキャンプから無線で天候の情報を得る。
前日は物凄い風で状況は最悪だった。誰もが無理だと思っていたが、
5/10 am0:30 日付が変わったあたりから風は収まり、不気味な静寂が訪れた。
5/10 pm2:00をリミットとして、いざアタック開始。

am4:30 バルコニー付近
AC隊のベックは2年前の目の手術が原因なのか、視界が急激に悪くなり目が見えなくなった。
それでも登頂を諦めない彼に、ロブは30分様子を見て回復しないようなら、引き返すように言う。
彼は承諾しているようだったが・・・

am10:25 南東陵

ヒラリーステップ下で固定ロープが足りないというトラブルが発生。
ガイド2人が対応にあたるが、ロープ待ちの渋滞が起こる。
この時点で、何名かは引き返す決断をする。第一のポイント、命の分かれ目だ。

pm12:25

渋滞を我慢したメンバーは続々と山頂に辿り着き、歓喜に浸ったのち下山に入る。
ヤスコ・ナンバも日本の旗を山頂で差していた。

pm1:14

先に引き返したメンバーとベックも下山したはずであったのだが、
思考が鈍っていたのか、諦めきれない気持ちがあったのか、彼はバルコニー付近でうずくまっていた。

ステロイド剤を投与して、往復したスコットもやっとの思いで山頂に辿り着く。かなり辛そうだ。

pm3:15

予定の時刻は過ぎた引き返すべきだ。しかしAC隊のタグは時間切れにも関わらず、諦めようとしない。
「来年はない、これが最後だ。」と語る。
彼の意志の強さに押し負けて、ロブも彼に付きそうが、この選択は完全な誤りであった。
個人的な意見になるが、ツアーの割引をしてまで、受け入れたのだが、彼は登らせるべきではなかったと強く思う。
頂上付近でこうなる事は目に見えていただろう。
子どもたちの夢を背負い上る彼は決して諦めない。たとえその身が滅びようとも。
極限状態における、ひとつの選択ミスは、取り返しが付かないことになりかねない。

その後、2人は頂上へ到達したのだが、急激に発達した積乱雲が目の前に押し寄せていた。
物凄い速度で山々を覆う。天候は一変し、激しい嵐と化した。
既に酸素はつきかけていた。タグも体力の限界に達していた。

南峰に酸素ボンベを2本残しておくようにロブは指示していたのだが、この時既に酸素は使い切られていた。
酸素を取りに行くとタグに伝え、ここを動くなと伝える。
1歩2歩と先を急ぎ、タグの方を振り返ると、彼の姿はもうそこには無かった。
落下したのだ・・・

ステロイド剤を打って無理をしたスコットも限界だった。
もう動くことが出来ない状態となり、ガイドに助けに来るように指示をして、その場に倒れこんだ。
スコットはそのまま凍死。

頂上に到達したメンバーがベックの脇を通る、彼に声を掛け一緒に列に加わるように促した。

ベースキャンプからは無線でロブに声を掛けていたが中々繋がらない。
ロブの元にガイドのハロルドが半分残った酸素を届ける。
しかし、既にボンベが凍っており酸素が出ない。
酸素無しでは下山は不可能と判断し、2人は救助を待つことにする。
体を寄せ合ってうずくまり一晩過ごすことに。

吹き荒れる嵐の中、ベックが足を踏み外し、メンバーは滑り落ちた。
ヤスコ・ナンバは起き上がれない。
ジョン・クロカワ―や数名は立ち上がるが、他人に気を使っている場合では無い感じだ。
「助けを呼ぶ」と言い残し、先を急ぐ。
もう動く事ができないメンバーは身を寄せ合ってうずくまる。

第4キャンプ、嵐が酷く、人の声はかき消される。
金属をカンカンと鳴らし、こっちだ。こっちだ。と合図を送る。

am0:00 先程の落下地点へ助けに戻る。
数名を救出。

am3:00 救助隊を編成して、ロブの救出へ向かう。

am5:00 ベースキャンプより無線で応答を続ける。
ハロルドは途中、暑いと言って服を脱ぎ出し、落下していた。
一時、ロブの無線が回復する。ベースキャンプと繋がり、状況を話すのだが、もはや虫の息。
衛星電話で妻のジャンと繋がる。
ジャンは妊娠しており、生まれてくる子供は女の子と最近知らされていた。
ロブは生まれてくる娘をサラと呼んだ。既に手足は凍っており。意識は朦朧とし、弱弱しい。
ジャンは日が出れば動けるようになるわ。手足を動かして血流をよくするのと伝える。

ロブは日中に動けるようになった身体で、よじ登っていた。
救助隊はペースキャンプに絶望的な事実を告げる。
嵐がまたやってくるので、近寄れない。引き返すとのこと。
ロブは天に見放された。

ヤスコとベックは雪に埋もれていた。
ベックは意識を失っていたが、自力で立ち上がり歩き出す。
ロブはそのまま、亡くなりヤスコも力尽きた。

ベックはキャンプに辿り着き、凍傷の為、両手と鼻を失った。
実物の写真が紹介されていたが、鼻は黒く焦げついたようになっており、
完全に機能していないようだった。

生還できる者と、そうでない者の違いは何だったのか?
作品を通して、皆もよく検証してみてもらいたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー話は変わるが、以前にフジテレビ系のアンビリバボーという番組で
ステージ4のガンの宣告を受けた初老の男性が妻との約束
(夫婦でエベレスト登山へ挑戦するという約束)を果たす為に
退院して、トレーニングを始めたという、驚きのエピソードが紹介されていた。

さて、彼はどうなったと思う?
彼は末期のガンでもあるにも関わらず、夫婦で登山に成功していた。もちろん山頂までとはいかないが、そして、驚くことに、ガンの進行はいつの間にか止まり、現在も生存されているという内容だった。
医学的な根拠があるわけではない、しかし高緯度、もしくは酸素が薄い状態などに人体が適応してくると、
その過程で体の中の細胞が活性化し、生きるのに必要な状態を作り出そうと、人体が働きかけるのではないかと勝手に思ったものである。

[youtube=https://youtu.be/6H9hN1rlNH4]