バークレイ・マラソン:前代未聞の超ウルトラ耐久レース

タイトル:

バークレイ・マラソン:前代未聞の超ウルトラ耐久レース

公開年度:

2014年

監督:

アニカ・イルティス
ティモシー・ジェームズ・ケイン

解説/あらすじ:

アメリカのテネシー州に「バークレイ・マラソン」という過酷なレースが存在する。
1986年に初めて開催され、30年の歴史の中で完走者は十数名しかいない。
申込方法は不明だが、情報によるとエントリー理由について作文に書く事が分かった。
作文により選考された者の元へ、慰めの手紙が届く。
「残念ながら、バークレイで走って頂きます」と。
共同創始者のラザラス・レイクとロウドックのインタビューに加えて
出場者と共にレースの様子を追った作品である。


レビュー:

ジェームズ・E・レイという囚人が山の中の刑務所から脱獄した。
捜索は難航し、囚人の逃走劇は56時間後に終止符を打つ。
疲れ切った姿で、身柄を拘束された場所は、
刑務所から13キロも離れていない場所だったそうだ。
テネシー独特の地形が容易な逃走を阻んだ。
そして、この出来事がバークレイ・マラソンを始めるきっかけとなっている。

受付もユニークだ。
初参加の場合、自分の国や州のナンバープレートを持参する。
2年目からはラザラスの必需品を持参する決まりになっている。
必需品は白シャツ、ソックスなどで、作品ではネルシャツだった。
金銭的に余裕がない人でも参加できるレースにしたいという意向で
参加費は驚きの1ドル60セント。
国外からも参加者があり、ヨーロッパでも有名なのか、
フランスやベルギーから駆け付けた人々がいた。

あるレース関係者が語っている。
「このレースの良いところは参加者の人柄がとても良い事だ。
そして、その参加者のほぼ全てが全滅することだ」と。

レース内容は以下の通り。
・スタート地点とゴール地点は同じ、コースは1ループ(42キロ)を5ループする。全長210キロ
※テネシーの大自然の中を駆け巡る為、目印というものは特にない。
従って正規ルートから外れた場合は、
森を彷徨うことになり人によってそのコース距離は制限なく増える。

・各ループにおいて、3,650メートル上り、そして3,650メートル下る。
※累積標高はエベレスト2つ分という。

・最初の2周は時計回りに走り、次の2周は反時計回りに走る。
そして最後の1周についてはトップのみが自分で決められ、
2位以降は前の人とは反対方向へ走る。
因みに3周制覇することは「ファン・ラン」と呼ぶ。

・ウォーターステーションは2か所設置されている。
※ある年では気温が低く、水が全て凍っていたという事もあったそうだ。

・コース上に10冊程の本が設置されており、参加者は正規のルートを走った証拠としている。
※自身のゼッケンと同じページを破って保持する。

・地図とコンパス、高度計の使用は可能であるが、GPSなどの携帯機器は使用禁止としている。
※レース途中で棄権する場合、
スタート地点まで戻る必要があり、何時間もかけて戻っている参加者もいた。

・レースの制限時間は60時間
※コース途中やループ間でもインターバルを入れても良いが、時計は止まらない。

・スタート時間が不明である。
※何時スタートなのか、参加者は分からない。
深夜なのか、早朝なのか、レース開始の1時間前にほら貝が鳴り響く。

・スタート合図は煙草に火をつける。
※ラザラスが煙草に火をつけるのが、お決まりのスタートの合図。

・リタイア時にはトランペットが吹かれる。

「バークレイ」は友人の名前からとったものだと言っていた。
正直な所、おふざけで始めたレースだと思うが、
参加者達は傷だらけのボロボロ、疲れ果てるまで唯々走るのだ。

ある人は「ファン・ラン」の完走が目標、
ある人は1ループの完走が目標、
またある人にとってはレースから生きて帰ること、それだけが目標。

何が成功で何が失敗とは一概には言えない。
多くの参加者は苦しいレースを終えた時に、他人の評価など全く気にならなくなる。
なぜなら、成功と失敗の定義は人それぞれ違うから。
ラザラスはインタビューに対して、そのように語っている。

ラザラスは冗談好きな、陽気な爺さんだが、人間の本質的なものを良く見ているなと感じた。
私自身、このようなレースとは無縁の世界で生きている。
しかし、人生というものが、良くも悪くもレースに例えられることからも、
ひょっとしたら幕が閉じた時の評価は自分自身で行うものなのかもしれない。

バークレイマラソン

 

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Posted with Amakuri at 2017.6.15
梅原 大吾
小学館