天才的世紀の空売り ~マネーショート 華麗なる大逆転~

タイトル:

マネーショート 華麗なる大逆転

公開年度:

2015年

監督:

アダム・マッケイ

解説/あらすじ:

この作品は実話に基づき製作されている。
2008年に起こったリーマンショック、
その前兆に気づき、行動を起こした人々がいたことを皆さんはご存じだろうか?
当時、アメリカの住宅市場ではサブプライムローン(低所得者向けローン)による、
まさにバブルの状態であった。人々は皆、この好景気が当分は続くものと考えていた。

作品に登場するヘッジファンドの男たちが、どの様な経緯で「世紀の空売り」に至ったのか?
また、実際の金融市場では何が起こっていたのか?
映像を通して、そこにある本質について是非考えて頂きたい。

 

レビュー:

作品の中心人物はマイケル・バーリーという男でヘッジファンドを運用していた投資家である。
彼はとても面白い経歴を持っている。
幼い時に片目を失明し、ガラスの隻眼である。
医学博士で作品中でも「ドクター」と呼ばれている。
大学在学中に学費のローンによる借金が1000万程あった。
持前の驚異的な集中力で医者の試験に合格したが、医学にはあまり興味が持てなかった。
在学中に始めた株式投資のブログが評判となり、スカウトされている。
コミュニケーションが苦手であり、ひとりでいるのが好きなタイプ。
投資戦略は全て一人で考えて決めている。

トレーディングルームでロック音楽をガンガンに鳴らし、常に素足、ハーフパンツ姿で会社に居座っている。
何か悩んでるかと思えば、汗だくでドラムを叩き、また部屋に籠って、ひたすら目論見書に目を通す。
そんな彼は、誰よりも早くMBS(モーゲージ債)の中身が偽りである事を見破った。

債権の保険契約であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を13億ドル空売りしている。
CDSは債権が下落した時、買い手に利益がでるのだが、
購入当時の大手銀行の担当者達は皆が口を揃えて「そんなバカげた投資、本当に良いんですか?」って聞き返していた。
バーリーはそんな事お構いなしに、
「市場が衰退した場合に、あなたの銀行には支払えるだけの資産がありますか?」と続けている。
担当者は良くそんな事が言えるものだと、驚きを隠せない様子。
バーリーは実際のところ、資産を数十の銀行に分けて、投資を行っており、
前もって危険だと判断した銀行へは持ち掛けていない。

金融業者は住宅と買い手が沢山いるので、ローン債権が底をついてきたのを良い事に
ヤバイローンも混ぜて商品化していた。
債権の中身の65%がAAA(トリプルA)の政府保証付きの債権と謳っていたが、
その実態は格付け会社も正常に機能していない有り様で、いい加減な仕事をしている始末だった。
銀行が売れ残りのクズ債権を寄せ集め、CDO(債務担保証券)を作っている。
そんな詐欺紛いの金融商品が市場に大量に放出されていた。
不思議に感じたのはデフォルト(債務不履行)が急増すると、報じられた後も、
市場の過熱は冷めることなく、値が上っていった事だが、簡単な話で
銀行側が手持ちのクズ債権が捌けるまでは値を下げないように、システム操作をしていると述べていた。

その中でも、とりわけ合成CDO(クズ×クズの寄せ集め)と呼ばれる証券の市場規模は、
住宅市場の何十倍もの広がりを見せており、その経済的な影響は図り知れない程であった。
作品中ではマーク・バウム率いるヘッジファンドが、間違い電話の情報から独自に調査行い、知り得た現実だった。

結果として、
ベアー・スターンズが破綻、そしてカントリーワイド・リーマンブラザーズも破綻した。

状況が沈静化した時には、5兆ドル分もの年金や不動産価値、401Kや貯金、債権が消失しており、
800万人が失業、600万人が家を失った。その経済危機は世界的に広がり、100年に一度と言われるまでになった。

近年、大手銀行がハイリスクな商品(看板を付け替えた合成CDO)を売り出しているという警告のような文で締めくくっている。
同じ過ちを繰り返すのだろうか?という疑問符を投げ掛けて。

[youtube=https://youtu.be/3dVHToERcDc]